血便
血便について
便に血が混ざる場合、出血源としては口から肛門までのすべての消化管が考えられます。一般的に、胃〜十二指腸からの出血は胃酸により酸化され、黒色便(タール便)として見られます。一方で、小腸〜大腸からの出血は、暗赤色便から鮮血便として観察されます。
ただし、患者さまが感じる便の色と、医療者が評価する色は必ずしも一致しないことがあります。そのため、血便を認めた際には、スマートフォンなどで便の写真を撮影していただくと、診断の助けになることがあります。当院では、こうした情報も含めて丁寧に評価し、必要な検査へとつなげています。
血便が見られた際に疑われる疾患
■ 暗赤色便〜鮮血便
① 大腸がん・大腸ポリープ
血便でまず注意すべき疾患です。盲腸〜下行結腸の病変では血液が便に混じるように見られることが多く、S状結腸〜直腸では便の表面に血液が付着する形で見られることが多いとされています。特に直腸付近の出血は痔と区別がつきにくく、自己判断で放置されるケースも少なくありません。
② 潰瘍性大腸炎
指定難病の一つで、血便を主症状として発症することが多い疾患です。20歳代に発症のピークがあり、若年者で血便を繰り返す場合には特に注意が必要です。
③ 大腸憩室出血
加齢とともに増える大腸憩室からの出血です。腹痛を伴わず、突然の鮮血便として発症することが特徴です。
④ 虚血性腸炎
腸の血流低下によって起こる炎症で、左側腹部〜下腹部の痛みとともに血便を伴うことが多い疾患です。
⑤ 感染性腸炎
通常は下痢や腹痛が主症状ですが、腸管出血性大腸菌(O157)やカンピロバクターなどでは血便を伴うことがあります。
⑥ 内痔核(いぼ痔)・裂肛(切れ痔)
頻度の高い原因ですが、痔と決めつけてしまうことで、他の重要な疾患の発見が遅れる可能性があります。
■ 黒色便の場合
① 胃がん、胃・十二指腸潰瘍
上部消化管からの出血により黒色便として認められます。少量出血ではタール状の黒色便となり、大量出血では吐血を伴うこともあります。なお、便秘によって便が黒く見えることもありますが、出血による黒色便とは性状が異なるため、区別が可能です。
検査方法
血便を認めた際には、便の色や量、腹痛・下痢の有無、食事歴などを詳細に問診し、原因を絞り込んでいきます。その上で、必要に応じて血液検査、胃カメラ・大腸カメラ、腹部CTなどを組み合わせて確定診断を行います。
軽度の出血であれば外来で対応可能ですが、大量出血の場合には入院の上で止血処置や輸血などが必要となることもあります。当院では、内視鏡検査を中心に迅速かつ適切な評価を行い、重篤な疾患を見逃さない診療を心がけています。
