お腹の張り
お腹の張りについて
お腹の張りは、日常診療でも非常に多いお悩みの一つです。医学的には上腹部の張りと下腹部の張りに分けられますが、一般的に「お腹が張る」と感じる場合には、下腹部の張りを指すことが多いとされています。症状の背景にはさまざまな原因があり、生活習慣に関連するものから、精密検査が必要な疾患まで幅広く存在します。当院では、症状の経過や背景を丁寧に確認し、必要に応じて適切な検査を選択しています。
下腹部の張りの原因
① 腸内環境の悪化
便秘や食生活の乱れにより悪玉菌が増えると、腸内でガスが発生し、お腹の張りやおならのにおいが強くなる原因となります。特に肉や卵などの動物性タンパク質は、分解の過程で硫黄化合物やアンモニアなどのガスを生じやすいとされています。便秘の改善とともに、こうした食品の摂取バランスを見直すことも有効です。
② 食物繊維・発酵食品の過剰摂取
「腸に良い」とされる食品であっても、過剰摂取により症状を悪化させることがあります。腸内で発酵してガスを発生しやすい食品群はFODMAP(フォドマップ)と呼ばれ、これらを控えた「低FODMAP食」によって症状が改善する場合があります。
③ 内臓下垂
姿勢の悪さや腹筋の低下により内臓が骨盤側へ下がると、下腹部の張りとして感じられることがあります。
④ 腸閉塞(イレウス)
腸管の通過障害により、消化液や空気が腸内に貯留し、腹部の張りや吐き気を引き起こします。物理的な閉塞と、腸の動きの低下による機能的なイレウスに分類されます。
⑤ 悪性腫瘍・腹水
腹腔内の腫瘍や腹水の貯留により、お腹の張りとして自覚されることがあります。腹水はがん性のもの以外にも、肝硬変や心不全、炎症などが原因となることがあり、原因の精査が重要です。
お腹の張り・おならのにおいが気になるときに疑われる疾患
① 大腸ポリープ・大腸がん
便通異常や腸内環境の変化により、腹部の張りとして自覚されることがあります。進行すると腸閉塞を引き起こすこともあります。
② 慢性便秘
腸内環境の悪化を通じてガスの増加を招き、腹部の張りの原因となります。長期的な治療が必要となる場合もあります。
③ 過敏性腸症候群
便秘や下痢といった便通異常に加え、腹痛や張り感を伴います。検査では明らかな異常が見つからないのが特徴です。
④ 腸閉塞(イレウス)
腫瘍や術後癒着などにより通過障害が生じ、腹部膨満や吐き気を引き起こします。重症例では緊急手術が必要となることもあります。
検査
腹部の張りの原因を特定するために、胃カメラ・大腸カメラ検査を中心に評価を行います。原因疾患に応じて薬物療法を行うとともに、生活習慣の中で症状を悪化させている要因がないかを確認し、改善につなげていきます。
また、腹水や腸閉塞が疑われる場合には、血液検査、腹部レントゲン、CT検査などを組み合わせて全身的な評価を優先します。当院では、内視鏡検査を含めた総合的な診断により、症状の原因を明確にし、過不足のない治療を提案しています。
